リレーションシップマーケティングの方法と事例
あなたはパレートの法則を知っていますか?
リレーションシップマーケティングの背景には、「売上の8割は全顧客の2割にあたる優良顧客が生み出している」というパレートの法則を応用した考え方があると言われています。リレーションシップマーケティングを効果的に行うことで売上アップだけでなく、ファン獲得にも繋がります。
今回はそのリレーションシップとはなにかということとその具体的な事例をご紹介します。
1.リレーションシップマーケティングとは?
リレーションシップマーケティングとは、既存顧客と良好な関係を作って距離を縮め、長期的なリピーターになってもらうことを狙うマーケティング手法の1つです。新規開拓を行い短期顧客を集めるのもマーケティングの手段としてはよいですが、長期的に見るとコスパが良いとは言えません。そのため、長期的に優良顧客にファンになってもらう方法としてリレーションシップマーケティングという考え方が重要視され始めています。
顧客1人が最終的に会社にもたらす利益をLTV(Life Time Value:生涯顧客価値)と呼び、リレーションシップマーケティングは、LTVの上昇が目的です。
以前までは直接お客さんとやり取りをするホテルマンや飲食店などでしか直接的なやり取りはできませんでしたが、最近のインターネットの普及により、商品やサービスなどを提供しているがお客さんとは接しにくい企業の人も顧客との接点を持ちやすくなりました。
そのため、リレーションシップマーケティングをしやすくなったのです。
2.リレーションシップマーケティングのメリット
リレーションシップマーケティングのメリットは多々ありますが今回は大きく3つご紹介していきます。
2-1.1人あたりの利益の最大化
顧客と長い付き合いをすることで顧客一人の一定期間の購入額をアップすることができます。また、長期的な利用につながるため、LTVを最大まで上げられる可能性が高まります。
2-2.安定した収益の獲得
成熟した市場での新規顧客の獲得は難しく、コストもかかります。そのため、すでにいる顧客へ、長期的に利用してもらえるようアプローチするほうが効果も大きく、コストもかかりません。また、定期的に購入してもらえるようになれば安定した収益が手に入ります。
2-3.口コミからの集客が期待できる
また、ファンになってくれた優良顧客は、自分でファンになるだけでなく知人への紹介やネットなどで、商品を広めてくれる可能性が高くなります。そのため、さらなる優良顧客をゲットすることになります。
3.リレーションシップマーケティング実施の手法
リレーションシップマーケティングで顧客との関係を作るには、次のようなマーケティング戦略を活用したアプローチが効果的です。
・データベースマーケティング
・One to Oneマーケティング
・サービスマーケティング
3-1.データベースマーケティング
データベースマーケティングは情報を収集し、顧客情報を管理・分析することで、集客・売上げアップをめざします。誕生日などに合わせてタイミングよく特典などを送るために、顧客関係管理システムのCRMを併用することもあります。
3-2.One to Oneマーケティング
メルマガなどの会員登録情報から、顧客の好みや価値観・状況の違いを把握し、一人ひとりに合わせたアプローチを行います。それによって顧客一人一人による満足度はアップします。
3-3.サービスマーケティング
一定期間にサービスを行い、ファンになった顧客を、特別イベントなどに招待します。それにより、より深い関係性を構築できます。また、そこで口コミを広げることができるためより良い顧客を獲得できます。
4.顧客へのアプローチ
上記のような手法を使って「顧客との良好な関係」を深め、ニーズを探るために、例えば次のようなアプローチを行います。
・誕生日や記念日に、バースデーカードや特典を渡す
・ポイントが貯まったら割引する
・お役立ち情報をメールやSNSで定期配信する
・不便がないか、利用状況を確認する
・SNSでの発信でのファンづくり
4-1.ツール
また、関係作りのツールには、次のようなものが効果的です。
・Web
・電話
・DM(ダイレクトメール)
・営業
・SNS
店頭でのサービス内容の充実もかかせませんが、インターネットでの広告戦略などが最近は主流でしょう。上記のようなツールを多々活用することで
5.リレーションシップマーケティングの成功事例
リレーションシップマーケティングに成功している企業の事例を紹介します。
Amazon
インターネット上でAmazonで買い物をすると、その人の購入履歴から、その商品の関連商品やその商品を買った人がその後何を買ったのかから下部におすすめ商品が表示されます。
顧客一人ひとりの履歴データに基づき、その人に合った情報を表示するこの手法も、リレーションシップマーケティングの1つです。この手法は様々なECサイトで活用されています。
ディズニーランド
90%という高いリピート率を持つディズニーランドでは、リレーションシップマーケティングを行っています。その1つが、来場者のことを「顧客」と呼ばず、「ゲスト」と呼ぶという施策です。
ウォルト・ディズニーは、ディズニーグループに来てくれる人は一人ひとりが大切な「ゲスト」であり、「お客様」とひとくくりにして扱うべきではない、という考えを徹底していました。その信念は今も受け継がれ、根強いファンを獲得しています。
ザ・リッツ・カールトン
一泊242万円のスイートルームがあるホテルブランド「ザ・リッツ・カールトン」。大阪にあるリッツ・カールトンの宿泊客のリピーター率は50%だそうで、訪れた人の2人に1人が再度利用しているようです。
リッツ・カールトンでは、IT技術を利用することによって、顧客に個別化されたサービスを提供し、リレーションシップマーケティングを行っています。
顧客が自らリクエストや要望を出さなくても、リッツ・カールトン側が顧客の潜在的なニーズを探り、創意工夫を持って具体的なサービスを提供。すなわち「かゆいところに手が届く」といったおもてなしで、顧客のリピーター率を上げています。
ZOZOTOWN
スタートトゥデイ社の「ZOZOTOWN」。2010年にリレーションシップマーケティングを導入した結果、半年間に60種類のキャンペーンシナリオにより、CVRを10倍に引き上げることに成功しました。
ZOZOTOWNではアクセスログや購入履歴、好みなど、個々の顧客に関する情報を多角的に取得しています。例えば、靴を購入した顧客には靴に合うアイテムの推奨やお手入れの方法を紹介したり、ギフト商品の購入客にはラッピング方法を情報提供したり、取得した情報を多様なキャンペーンの中で活用することで、顧客からのレスポンス率とロイヤルティの向上を実現しています。
ZOZOTOWNでは、日々蓄積される情報の分析を通じて、リレーションシップマーケティングを継続的に向上させており、2013年時点では日々130種類以上のパーソナライズメールを配信するに至っているようです。
まとめ
リレーションシップマーケティングについて解説しました。お客様一人ひとりへのきめ細やかなサービスと心づかいは、リピーターになってもらうための重要なポイントです。
今はスマートフォンやSNSの浸透により、様々なアプローチを活用したリレーションシップマーケティングが可能です。
今後、アプローチのためのツールは増え、細分化していくでしょう。「自社の顧客はどんなサービスに喜ぶのか?」分析し、最適な戦略の実施が重要になります。