動画マーケティングとは? 活用方法を徹底解説
「動画マーケティングって、つまり動画プラットフォームや動画広告のこと?」
あなたはそんなふうに思っていませんか?
現在インターネットの動画広告は一般的に広く配信されるようになっています。
「YouTube」や「Facebook」などのプラットフォームのみならず、一般的なWebサイト上でもさまざまなブランドの動画広告を目にするようにになりました。
しかし、実は「動画マーケティング=動画プラットフォームや動画広告」ではありません。動画プラットフォームや動画広告は、動画マーケティングのほんの一部でしかないのです。
もっと言えば、この「動画マーケティング」の全体像を網羅的に理解し、正しく定義できている会社は現時点(2019年9月時点)ではまだ見受けられません。それもそのはず、動画マーケティングとは、とても幅広い概念であり、かつ、現在進行中で変化しつづけているからです。
この曖昧でわかりにくい「動画マーケティング」という言葉を、いかに「網羅的にわかりやすく理解できるようにするか」に挑戦するのがこの記事です。また、理解だけではなく実践するためには何に気をつける必要があるのかまで説明しています。
動画マーケティングを知ったつもりから抜け出して、本質的な動画マーケティングを行いたい方はぜひ、この記事をじっくりとお読みください。
1.動画マーケティングとは?
動画マーケティングとは、あくまでも「マーケティング施策」の一つです。
マーケティング施策にも様々な段階とそれぞれに手法があります。それらを動画の特性を活かして効果的に動画に置き換えていくのが「動画マーケティング」と言えます。ただ単に、文字と画像を動画に置き換えただけで成立しないのも動画マーケティングです。
まず、記事内では「動画マーケティング」という言葉を分解し「動画」と「マーケティング」について分けて説明した後に動画マーケティングについてお話ししていきます。
2.動画がマーケティングに使われる要因は何か?
2-1.動画マーケティングの動画とは
2-1-1.インターネット環境の整備とスマートデバイスの普及
動画マーケティングの話をする前にまずは動画の背景についてお話ししていきます。動画が注目されるようになった理由のひとつは、スマートフォンの普及と5G回線の開始によって動画閲覧環境の素地が整ったことが挙げられます。
2-1-1-1.スマートフォンの普及
現在、日本人の65%がスマホで情報を見る時代といわれています。さらに女性に関しては、PCよりもスマホで見ている人が圧倒的に多いです。すでに、ファッションやコスメといった女性向けサイトなら、スマホからのアクセスが96%を超えています。スマートフォン・タブレットなどのデバイスが普及したことにより、通信料金に関しても整備が整ったため、ファイルサイズの大きい動画も、気兼ねなく視聴できるようになりました。そのため、多くのユーザーが動画を快適に視聴するようになったのです。
2-1-1-2.5G回線の発達
また5G回線になることにより、動画の活用を阻んでいた3つの問題が解決されました。
1つ目は「超高速」であること。通信速度が4Gの毎秒1ギガビットから5Gでは毎秒10ギガビットに向上し、理論上は2時間の映画を3秒でダウンロードできるということになります。インターネットにつないで視聴していた動画が止まったり、音声が途切れることがなくなり動画がどこでも見れるという環境が整ったのです。
2つ目は「超低遅延」であること。4Gの10ミリ秒(1/100秒)ほどの遅延から5Gで1ミリ秒(1/1000秒)ほどの遅延に短縮され、遠隔地のロボットのリアリタイム操作ができるくらい、ほぼ通信の遅延を感じさせなくなります。インターネット回線のビデオ通話が数秒遅れたりすることもなく、写真や動画をスマホ内ではなくクラウドに保存しても待ち時間なく見ることができるようになります。
3つ目は、「多数同時接続」できること。5GであればスマホやPCだけでなくカメラや家電などさまざまなデバイスがインターネットに接続できる ので、いつでもどこでも動画が見れる状況が整いました。
以上の3つの観点から、動画について垣根が低くなっていくと考えられます。
2-1-2.YouTube、Instagramといった動画配信プラットフォームの登場
2017年に「YouTube」で1日あたりの延べ動画視聴時間は10億時間を突破しました。そのほかのプラットフォームでも動画配信できるのは当たり前になってきています。それにより、googleで検索していたことがYouTubeで直接検索されるようになりつつあります。現段階でGoogle検索とYouTube検索の検索ボリューム数が、すでに逆転しているキーワードも存在しています。
動画視聴が消費者の生活にこれほど入り込んでくると、企業のマーケティング活動としても、動画を活用した施策が必須となります。
2-2.動画広告の市場規模
2018年の1,843億円から見ると3年後の2021年には3,629億円でおよそ2倍に成長し、動画広告はさらに注目される見込みです。
それにあわせてYouTube動画をはじめとした動画プラットフォームを活用したマーケティングは今後も欠かせないものとなるでしょう。
3.マーケティングとは何か?
3-1.マーケティングの定義
今度は「マーケティング」に関してお話ししていきます。
ビジネスの世界では「マーケティング」という言葉をよく耳にする方も多いと思います。しかし、その言葉が指す意味は「リサーチ」や「広告宣伝」、「データ分析」など人によってさまざまです。
Wikipediaでは、
企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念
(出典:マーケティング-Wikipedia )
と定義されていますが、これはどのような意味でしょうか。ここで「もしドラ」でも有名な経営学の大家、ピーター・ドラッカー氏の解説をみてみましょう。ドラッカー氏は、「マーケティングの理想は、販売を不要にするものである」と述べています。
お客様に「買ってください!」とプッシュしなくても、お客様から自然に買いたくなる状態が最高ということです。
そのためには、ニーズに合った商品を、適切なターゲットに適切なタイミングで発信していくことが大事です。そのために、商品開発から販売戦略の策定、広告宣伝に効果検証までの一連のプロセスを、一貫して計画して実行・管理すること。すなわち、商品が「売れる仕組み」をつくることが、「マーケティング」において大事なことと言えるでしょう。
「マーケティングって何?」という方はこちらをご覧ください→マーケティングとはどういう意味?【10分でわかる入門編】
3-2.マーケティングの時代変遷
3-2-1.時代とともに変遷した(モノ→コト)
消費者のニーズには様々な時代の流れがあり、その時代によって必要なアプローチ方法も変わってきます。そのため、マーケティングの手法も製品をつくれば売れる”モノ”の時代から、共感して買ってもらう”コト”の時代へと変化してきました。
以前、インターネットがまだ浸透していなかった時代は、商品が不足しており、モノの存在価値は企業側の製品力×マスメディアでの発信力でした。現在のように商品の選択肢がないため、知ってもらえれば買ってもらうことができました。
しかし、消費者が自分で商品について調べられる現在、情報発信を行うだけでは買ってもらうことができなくなってきました。
3-2-2.共感性が必要になる
そこで重要なのが”コト”。「何のためにその商品をつくっているのか」「何にこだわっているのか」などから、消費者に企業や商品のストーリーを共感してもらい、ファンになって商品を買ってもらいます。ファンになってもらうのでリピートもしてもらいやすいですし、継続的な収益を見込めます。
簡単に例を挙げるならLUSHの販売方法でしょう。
LUSHは「動物実験を行わない」「合成保存料を使用しない」「パッケージを簡素化する」という”環境に優しくシンプル”という企業理念で製品開発、販売をしています。その会社の理念に共感し、ファンになって商品を買っている人が多いのです。
「環境に優しい」ということに興味がない人も居ますが、興味を持っている消費者にとってはLUSHは有力な選択肢となるのです。
3-3.共感性を生む方法
しかし、「共感を生む」とはどのようにすればよいのでしょうか。共感してもらうためには以下の二点が必要になります。
・タイミング
・ストーリー性
3-3-1.タイミング
「〇〇が欲しい」と思うタイミングは人それぞれのため、企業が一斉に発信するTVCMなどの広告でカバーすることは難しいです。しかし、インターネットにより消費者が何を求めているのかやタイミングが可視化できるデータが蓄積できるようになりました。どんなサイトを毎日閲覧し、何をどんなルートで購入しているのかの行動や性格、価値観などデータを収集し分析が可能となったのです。
それから、顧客一人ひとりに合わせた対応One to Oneという考え方が主流になりました。それで開発されたのがマーケティングオートメーション(MA)です。それによりマーケティングがより高度化複雑化してきたのです。
3-3-2.ストーリー性
ストーリー性を示すことにより、共感をしてもらうことが容易になります。方法としてはWebサイトでの情報発信や店頭でのポップ、など様々な手段があり、トレンドは時代とともに変化します。そのため、一概に「これがいい」とは言えません。しかし、現在では動画がストーリー性を押し出すには有効的だと考えられています。
理由は先ほどの「動画」についての部分でもお話ししましたが以下の三点が挙げられます。
・すでに使用しているので受け入れやすい
・情報量が多い
・共感に訴えやすい
3-3-2-1.使用しているので受け入れやすい
動画はさきほどもお話ししたとおり情報発信のトレンドになってきています。すでに若者が慣れ親しんだもののため、受け入れやすいツールとなってきています。また、若者だけでなく幅広い年齢層にも受け入れられやすいのも動画の良さです。
3-3-2-2.情報量が多い
動画は文章やテキストのみよりも5000倍の情報量があり、一分間でWebサイト3,600ページ分の情報を伝えているといわれています。効率的、かつ受動的に情報を吸収させることにより、企業はファンを作りやすくなります。
3-3-2-3.感情に訴えかけやすい
動画は「Verbal(言語)」「Vocal(聴覚)」「Visual(視覚)」すべてに働きかけることができます。そのため、情報量もさることながら、文章では伝えにくい雰囲気・空気感などを感じ取ってもらうこともできます。
以上の三点からストーリー性を感じさせるためには動画が効率的かつ効果的だとお伝えしました。
ここまででお話ししてきましたが、一度わかりやすくまとめてみましょう。
・これからのマーケティングには共感性が必須
・共感性を高めるためにはタイミングとストーリー性が重要になる
・タイミングではMA、ストーリー性には動画が一番効果的
以上のことから私たちは「動画×マーケティング」がこれから先必要だと思っていますし、それを組み合わせたものが私たちの定義する動画マーケティングです。
4.動画マーケティングのメリット
長々と説明をしてきましたが、上記に加えてここでは簡単に動画マーケティングのメリットに関してご説明します。
4-1.若者にターゲットしやすい武器になる
1つ目のメリットは、「動画」というものが、30代以下の世代にとってもっとも合理的なコミュケーションとなっていることが「動画マーケティング」に取り組む企業が近年急増している理由になっていると考えられます。
日本の10代〜30代はミレニアム世代と呼ばれ、生まれた時からスマホやPCが身近なデジタルネイティブと呼ばれる世代です。
ミレニアル世代はデジタルネイティブと呼ばれる世代でもあります。デジタルネイティブとは、生まれて物心がつく頃にはインターネットをはじめとしたIT技術やPC、携帯電話・スマートフォンといったIT製品が普及していた環境に育った世代をいいます。
初めてのデジタルネイティブであるミレニアル世代は前世代と比較して全般的に情報リテラシーに優れている傾向にあり、IT製品を利用した作業やインターネットでの情報検索をはじめ、近年ではSNSを利用した情報発信・情報共有が活発に行う等、先進技術に高い親和性を持った世代です。
消費に関する価値観も前世代と大きく異なり、前世代がマイホームやマイカー、洋服やアクセサリーといったファッション、ブランド品等の「モノ」に対して活発に消費が行われていたのに対して、ミレニアル世代はイベントやボランティア活動への参加等、共感や体験といった「コト」への消費に重きを置いています。これは前世代と比較して収入が少ない等の経済的事情も影響していると考えられています。
(出典:ミレニアル世代の定義や意味とは? Y世代とZ世代との違いも解説-Insta Lab)
4-2.海外マーケットへの武器になる
2つ目、人口減少が進み、海外マーケットへのシフトを考える日本企業にとっては、動画による非言語コミュニケーションが認知と情報伝達のカギとなります。日本の人口は2048年には1億人を下回り、2060年には8000万人台にまでに減少人口が減少することが内閣府から予測されています。数年以内には日本人マーケットから海外マーケット(訪日外国人 or アジア市場)にいかにシフトさせていくかが、企業の重要な課題となっていきます。
海外の中でも特に経済成長と人口増が著しく、今後の世界市場を牽引していくであろう東南アジアのASEAN地域では、6億4千万人(日本の約5倍)という潜在的市場を持っていることに加え、ASEANのすぐ隣のインドでは、2028年時点で名目国内総生産(GDP)が6兆ドル(約675兆円)を突破し、経済規模で日本を上回る世界3位の大国になると予測する調査結果も出ています。(日本経済研究センター調べ)
ASEAN地域の筆頭であるインドネシアの平均年齢は29.9歳、初婚平均年齢が男性25歳、女性22歳と言われています。国民の中心となる世代が、ちょうど家庭を持ち、子供たちのために一生懸命働いている世代です。中心的な労働人口で、消費人口でもある世代が、20代〜30代であり、彼らの多くが非言語的なコミュニケーションすなわち、動画による情報伝達が主たる情報収集源となっていることが調査からわかっています。
これらの国々に対して、日本のプロダクト・サービスを認知させ、国外へとマーケットを広げていくにあたり、母国語が英語や中国語ではない上に、動画や写真などのビジュアル的な広告、いわゆる「非言語コミュニケーション」に長けていない人は不利になるでしょう。そこで重要となってくるのが「動画」なのです。
5.動画マーケティングの課題
動画マーケティングのメリットなど良い部分に関してお話してきました。しかし、この動画マーケティングを成功させようとすると大きく分けて三つの課題が出てきます。
5-1.マーケティング観点から動画制作をできる人材が少ない
なぜ動画マーケティングが難しいのかと言われると、一般的な動画制作会社にはマーケティングの知見を持つ人材がいないからです。その一方で、一般的なWebマーケティング会社には、動画制作を行える人材もいません。動画マーケティングには、専門性が高い人材が複数人必要となるため、これまでの体制では動画マーケティングを行うのは難しいのです。
まだ上がってきている事例自体も海外の物が多く、国内ではまだ少ないため、その分野で知見を持っている人材が希少であるということも要因の一つでしょう。
動画マーケティングを正しく行うためには、最低でも、下記の専門職人材が必要になります。
専門1)マーケター(マーケティング戦略設計、コンセプトの明確化、PDCA運用)
専門2)メディアプランナー(メディアプランニング、配信公開)
専門3)クリエイティブディレクター(Webディレクション、動画ディレクション、コピーライティング、デザイン、コーディング、動画企画、動画撮影、動画編集)
5-2.動画制作に時間とコストがかかる
そのため、動画マーケティングを正しく行っていくには、機材以外にも人件費多大なコストがかかります。彼ら専門的人材が、ケンカすることなく、相互に理解し合って、目的に向かうためには、それぞれの領域において、それぞれ専門の企業が関わりプロジェクトチームを組まなければなりません。しかしながら、複数の会社で、それぞれの専門家が、それぞれの立場から最良の答えをぶつけ合った結果、よいものができるとも限りません。
コストと成果を気にするマーケターと、コンセプトや表現企画にこだわるクリエイティブディレクター、自社で取り扱っている媒体掲載や広告費のことしか考えていないメディアプランナー。彼らが一致団結して動画マーケティングを成功させることは容易なことではないのです。
5-3.動画マーケティングで本当に成果が出たのかわからない
動画マーケティングを行う際には、動画コンテンツをつくること、成果を出すこと、どちらも一緒に考えていくことが必要になります。しかし、動画の専門家とマーケティングの専門家、どちらもそろっている会社は極めて少ないです。
動画制作会社ではマーケティング的に考えられず、マーケティング会社、Web制作会社、Web広告代理店では、動画を効果的に使いこなすことができませんし、自分たちで見積もりを作ることすらできないことがほとんどです。そのため、動画マーケティングを行おうとしても失敗しやすい現状があるのです。
6.動画マーケティングのラビットクリエイティブ
動画制作会社の多くは、動画を使った認知拡大や広告など、マーケティングプロセスの中では、「リードジェネレーション(認知拡大)」の領域が多く、またその領域を扱えることが、動画制作会社にとって「花形」と思われている節があります。
RABBIT CREATIVEの場合、「リードジェネレーション」の領域も扱っていますが、最も得意とするのは、「すでに接点を持った顧客を教育して、サービスや製品を利用してもらう」「休眠顧客に再アプローチしてサービスを再開してもらう」ための施策を考える、「リードナーチャリング(顧客育成)」、既存のお客様に継続的に利用していただき、ファンにしていく「カスタマーサクセス(顧客満足度向上)」の領域です。
モノが溢れ、サービスに溢れている昨今の世の中では、認知をしてもすでにお腹いっぱいの人にお菓子を勧めるようなものですでに飽和しきっています。そのため、認知を広げること以上に、「如何にして顧客のLTV(Life Time Value)を最大化させるか」を考えることが重要です。そのためには、顧客に「製品やサービスを使い続けていただき、その価値を実感・体感してもらうこと」が必要です。
顧客情報をいち早く獲得し、育てて、いかに自社の製品やサービスの魅力を深く伝えていくか(ブランディング)を行うことも必要になってきています。
また、多くの企業で陥りがちな失敗は「動画ありき」でマーケティングをスタートさせてしまうことです。動画はあくまでもツールの一つであり、表現方法のひとつ。確かなマーケティング戦略とコンセプト、メディアプランニングがあってこそ、動画表現が最大限に生きるのです。
動画を通して、企業・サービスの価値を伝え(ブランディング)、動画を効果的に活用した見込み顧客の育成、既存顧客をつなぎとめて成功に導く(マーケティング)、こそが、本当の動画マーケティングです。
事例に関してはこちらを御覧ください。
8.まとめ
ここまでお話してきましたがいかがだったでしょうか。動画マーケティングを考える際には「動画+マーケティング」ではなく「動画×マーケティング」になるよう、考えていくことが必要です。外注にするにしろ、内製化するにしろ動画とマーケティングをどちらも極めた人材が必要になってきます。
上記でご説明したことを踏まえて動画マーケティングをやってみてくださいね!
ラビットでは内外問わずご相談を受け付けておりますので気になる場合はお問い合わせフォームからご連絡をお願いいたします。