ECサイトに必要なマーケティング施策とは?

ECサイトが顧客を獲得するために行うマーケティングを「ECマーケティング」と呼びます。これらは特別なものではなく、ECサイトをユーザーに知ってもらって、買い物をしてもらうことを目的として、一般的なウェブマーケティング施策を効果的に組み合わせて行うものです。
ECマーケティングのために利用する手段は、各種ウェブ広告の出稿や、サイトのSEO対策、顧客へのクーポン発行やポイントシステムの構築、サイトそのもののUI改善まで多岐にわたります。
このページでは、ECサイトのマーケティング戦略を大きく3つの段階に分けて、わかりやすく解説していきましょう。
ECサイトのマーケティング施策とは
ECサイトの特徴を踏まえ、ECサイトに適したマーケティングを行うことを「ECマーケティング」と呼びます。目的は、一般的なマーケティングと同様、消費者に自社商品を購入してもらい、利益を向上させることです。
ECマーケティングでは、基本的に対面でのマーケティングができません。そのため、インターネットを介した非対面の状態で行うことになります。
そのため「集客」の難易度が高くなります。街を歩いていて、たまたま見かけたお店に入ってみる、という行動がないからです。また、言語以外に「商圏」の概念もないので、近所のお店だから…という理由で購入してもらえることもなくなります。
一方で、アクセスデータ分析などを用いた集客が可能になるのはECマーケティングのメリットといえます。
ここでは、ECマーケティングのフェーズを
- ・集客
- ・購入(CVR向上)
- ・再訪(リピート層獲得)
の3つに分け、数ある施策の中から、各フェーズに適したマーケティングの手法を紹介していきます。
ECマーケティングで「集客」のために行う対策

ECサイトの集客とは、サイトへのアクセス数のことです。アクセス数が多ければ、購入に繋がりやすくなりますし、ECサイトそのものの認知度の目安にもなります。ここでは、実店舗のないECサイトの集客方法を紹介していきます。
リスティング広告(検索連動型広告)
GoogleやYahoo!などの検索結果画面の上部に、「広告」というアイコンのついたサイトがいくつか出てくることがあります。これは、「リスティング広告」と呼ばれるもので、検索連動型広告ともいわれます。
リスティング広告は、消費者が特定の商品を検索サイトで探そうとしたときに表示されるインターネット広告ため、アクセスの獲得効率が高いのが特徴です。費用対効果が高いことから、はじめてECサイトの広告を出稿するときにもおすすめです。
バナー広告(ディスプレイ広告)
バナー広告は、文字と画像で構成された広告で、Yahoo!のトップページや、ニュースサイト、ブログ記事など、さまざまなWebサイト上で表示されます。
製品やブランドロゴなどを画像で表示できることから、ECサイトの認知度を上げるために特に効果を発揮します。運用においては、バナー広告単体ではなく、他の広告と合わせて活用することで費用対効果がよくなる傾向があります。
動画広告
動画広告は、大きく分けてふたつあります。ひとつは、YouTubeなどの動画サイトの動画内で流れる「インストリーム広告」で、もうひとつは、Webサイトのバナー広告を置き換える形で流れる「アウトストリーム広告」です。
映像と音声で消費者に訴えかけることができるため、バナー広告と比べて伝えられる情報量が多いのが特徴です。テレビCMと比べると、広告を見せるターゲットを絞れて、しかも費用が安く済むメリットがあります。
バナー広告以上に認知度を上げる効果が期待できますが、バナー広告に比べると広告の制作に手間と費用がかかります。
SNS広告(Instagram・Twitter・Facebook・LINE)
SNS広告とは、SNSのアプリ内や、タイムライン上に掲載する広告のことです。日本人の約7割がSNSを利用しており、10代~30代は約8割利用しているため、多くの人の目に触れやすいことがメリットです。
また、SNSのユーザーは、自らの年齢や性別、居住している地域などをプロフィールとして登録するため、その情報と閲覧履歴などのデータを連動させることで、よりユーザーが興味を持ちやすい広告を表示させることが可能です。そのため、自社のECサイトに興味を持ってくれる確率が高い人にだけ広告を表示して、効果的にアプローチすることができます。
SEO対策
広告出稿とあわせて行いたいのが、ECサイトのSEO対策です。SEOとは「検索エンジン最適化」という意味で、消費者が特定の検索キーワードをGoogleやYahoo!などで検索したときに、サイトが上位に表示されるための対策のことを指します。
Googleの検索エンジン(Yahoo!もGoogleの検索エンジンを使用)には、サイトの良し悪しや、検索キーワードに合致しているかを判断するための「検索アルゴリズム」があり、これを元に消費者のほしい情報を表示させています。
SEOのための対策にはいくつかの方法がありますが、大切なのは、そのキーワードで検索した人が求めているコンテンツを、文章や画像、動画を使って作り上げることです。消費者のほしい情報が過不足なく用意されたコンテンツほど、検索エンジンで上位に表示されます。
ECマーケティングで「購入」してもらうために行う対策

サイトのアクセスが増えたら、次は、実際に製品やサービスを購入してもらうための対策が必要です。ここでは、「購入」してもらうための対策を紹介します。
ランディングページ最適化
ユーザーがECサイトを訪問したときに、最初に見るページをランディングページといいます。ランディングページはサイトの入口なので、魅力的でなかったり、使いづらかったりすると、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。
そのため、製品ページまでたどり着いてもらうための工夫が必要です。その手法はECサイトが販売する製品のジャンルによって異なりますが、製品に興味を持ってもらうためにビジュアルやキャッチコピーを工夫したり、製品を紹介するためのコラムを設置したりするなどさまざまな方法があります。
UI(ユーザーインターフェース)の最適化
ユーザーとECサイトの接点となる、サイトのデザイン、文字、画像、動画など、サイト全体の体裁を「UI(ユーザーインターフェース)」といいます。
サイトのUIが、ユーザーにとってわかりやすいものになっていて、ユーザーが求める製品のページまでたどり着けることは、購入率アップを狙う上で大変重要です。
扱う製品やサービスの性質によっては、ブランディングを優先してデザイン性を重視することもあるでしょう。ですが、ECサイトにおいては、ユーザーにとって使いやすいこと(ユーザビリティ)が購入率に影響するため、非常に重要になります。
サイト内検索の充実
ユーザーがECサイト内で目当ての製品を探すための手助けとして、サイト内の検索機能を充実させることが大変重要です。扱う製品が増えれば増えるほど重要度は増します。
検索窓にキーワードを打ち込むワード検索機能や、製品のカテゴリや利用シーンなど、さまざまな角度から探せるようなメニューを設置するとよいでしょう。また、製品の種類によっては、色やサイズ、価格や機能などでソートして検索できるようにしておくのも効果的です。
レコメンド機能
レコメンド機能は、そのユーザーに対しておすすめの製品を表示させる機能のことです。この場合の「おすすめ」というのは、ECサイト側のおすすめではなく、そのユーザーが閲覧した製品や、カートに入れた製品を元に、興味を持ちそうな関連製品をおすすめします。
たとえば、閲覧したもののカートに入れなかった製品より安い類似製品をおすすめしたり、色違いの製品を表示したりすることで、購入率のアップが期待できます。
また、カートに製品を入れたユーザーに対しては、「よく一緒に買われている商品」として関連商品を表示させたり、「送料無料まであと00円、調整におすすめの商品はこちら」として、ついで買いできる安価な商品を表示したりするのも有効でしょう。
「カゴ落ち」対策
製品をカートに入れたものの、購入が完了する前にユーザーが操作をやめてしまうことがあります。これを「カゴ落ち」といいます。
カゴ落ちの原因としては、購入を完了させるための手続き(住所氏名の入力やクレジットカード情報の登録)などが面倒だったとか、送料が想定したより高かったとか、途中で購入を考え直したなどさまざまです。
単なる買い忘れであれば、カゴに製品が入っていることをアプリの通知で知らせたり、メールで知らせたりといった方法があります。買い忘れ以外の「カゴ落ち」には、ユーザー目線に立って原因を探し、より購入に繋がりやすいように見直して行くことが必要です。
ECマーケティングで「再訪」してもらうために行う対策

ECサイトを定期的に訪れ、買い物をしてくれる常連のユーザーを「アクティブユーザー」と呼びます。このアクティブユーザーを増やすことが、ECサイトの売上を安定させるためには大切です。ここでは、ユーザーの「再訪」を促し、アクティブユーザーになってもらうための方法を解説します。
ポイントの付与・割引クーポンの発行
買い物額に応じて付与されるポイントシステムや、割引などのクーポン発行は、ECサイトでは定番の「再訪」対策です。利用できるポイントがサイトに残っていれば、ポイント消費のためにサイトに訪れ、そのついでに買い物をしてもらえる確率が高くなります。
また、次回の買い物で使える割引クーポンや、期間限定クーポンを定期的に発行して、メールなどでお知らせすると、サイトのことを思い出してもらうきっかけになります。ユーザーの囲い込みとして検討するとよいでしょう。
リマーケティング広告(リターゲティング広告)
過去にECサイトを訪問したユーザーや、実際に製品を購入したことのあるユーザーに向けた広告が「リマーケティング広告」です。リターゲティング広告とも呼ばれます。
すでにサイトのことを知っている人に対して広告を表示するため、商品に興味を持っていたり、一定の購買意欲があったりすることが見込まれるユーザーに効率よくアプローチできるため、通常のバナー広告などに比べると費用対効果が高くなります。
メールマガジンの配信
ECサイトの顧客に対して、メールマガジンを配信することも有効な手段です。セールの情報や、季節性の商品の情報を発信することで、サイトのことを思い出してもらえるようになり、再訪を促せます。
また、ECサイトの性質によっては、行っている取り組みや、扱っている製品にまつわるストーリーなどを配信することができるのもメールマガジンの利点です。
どのメールマガジンに顧客が反応したかも、ECサイトへのアクセスデータと照らし合わせて分析できるため、より再訪を促せる内容を吟味することもできます。また、しばらくECサイトを訪れていない顧客を抽出し、クーポンの発行などでアプローチすることも可能です。
まとめ
近年は数多くのECサイトが存在します。そのため、お客様を自社のECサイトに呼び込み、商品を購入してもらうことは、年々簡単ではなくなっています。
しかし、このページで紹介したさまざまな手法を組み合わせることが小さな積み重ねとなり、より多くのお客様にサイトを知ってもらい、商品を購入してもらうことに繋がります。また、再訪を促す施策は、その方法によってはお客様のアフターフォローにもなり、サイトのファンづくりにも繋がります。
このページで解説したECサイトマーケティングの施策が、多くの人に利用され、愛されるECサイト運営のヒントになれば幸いです。