YouTubeショートとは?|動画の投稿方法・収益について解説

YouTubeが2021年7月に本格スタートさせた「YouTubeショート」は、先行する「TikTok(ティクトック)」や、Instagramの「Reels(リール)」にならった、最大60秒のショート動画コンテンツです。1億ドル規模のクリエイター支援基金も発表され、注目を浴びています。
この記事では、「YouTubeショート」の概要や収益について解説するとともに、投稿方法や動画の作り方について画像を混じえて紹介します。
YouTubeショートは最大60秒の縦型動画を投稿するサービス
「YouTubeショート」は、最大60秒の短い縦型動画を投稿できるサービスです。2020年9月からベータ版としてサービスが開始され、2021年7月に日本でもサービスを開始、世界中のクリエイターがひと目を引くキャッチーな動画を数々投稿しています。
「YouTubeショート」は、人気動画アプリ「TikTok(ティクトック)」や、Instagramの「Reels(リール)」と同じ本質を持ったサービスで、YouTubeは従来の長尺動画と並ぶ人気コンテンツにしたい考えです。
こうした背景には「TikTok」の好調があります。日本や韓国では長尺動画の人気が高いものの、アメリカ・イギリスなどでは短い動画のほうが好まれており、YouTubeはそうしたユーザーを獲得したいと考えています。
作り方は簡単。スマホ1台で録画・編集・投稿が可能

「YouTubeショート」は、スマホ1台で撮影・編集・投稿が可能です。これまでのYouTube動画は、動画編集ソフトやアプリで編集した動画をアップロードするの一般的でしたから、かなり手軽になっています。そのため、今まで投稿を躊躇していた人でも気軽に投稿者になれるのです。
「YouTubeショート」の主な編集機能には、以下のようなものがあります。
- ・動画撮影機能(最大60秒カウント機能付き)
- ・複数の動画をドッキングする「マルチセグメントカメラ」
- ・YouTubeの音楽ライブラリから楽曲を追加
- ・動画の再生速度の変更
- ・テキスト、キャプションの追加
- ・スマホに保存した動画クリップの取り込み
- ・フィルターの追加
- ・世界中のYouTube動画からの音声サンプリング
注目は、世界中の数十億といわれるYouTube動画から音声サンプリングできる機能です。人気動画のジョークをサンプリングしたり、人気のネタを自分なりに再現するなどの楽しみ方がYouTube公認で可能になります。この機能が使えることは、YouTubeショートならではのメリットといえるでしょう。
あなたのチャンネルを見たことのない視聴者へリーチできる

YouTube側は、いわゆる長尺動画と「YouTubeショート」の視聴者層は異なると考えています。そのため、「YouTubeショートは通常の動画(長尺)のパフォーマンスに大きな影響を与えない」配慮がされています。
たとえば、ショート動画の新着通知はショート動画をよく見るユーザーにしか送られないため、従来の視聴者の負担になりません。いっぽうで、ショート動画は今までのチャンネル視聴者とは異なるタイプのユーザーへのアプローチを可能にします。
これらのことは、新たなフォーマットを活用するための思い切った挑戦を可能にし、クリエイターの新たなチャレンジを後押ししてくれます。
収益化のため1億ドル規模の「YouTube Shorts Fund」も誕生

2021年5月に、YouTubeショートを対象にした、総額1億ドルのファンド「YouTube Shorts Fund」が創設されました。これは、YouTubeショートのクリエイターに報酬を支払うもので、従来の収益化プログラム「YouTube Partner Program」の会員である必要がありません。
人気のYouTubeショートを投稿したクリエイターに、毎月YouTube側から連絡がされるというシステムで、報酬の支払いについての規準には不明な点が多いものの、報酬を受取るクリエイターの人数は毎月「数千名になるだろう」とYouTubeは予想しています。
対象になるのは「YouTubeショート専用の完全オリジナル」のみ
この「YouTube Shorts Fund」による報酬の受け取り対象になるためには、過去180日間にショート動画を最低1本投稿していることと、クリエイター自身が作成したオリジナル動画であることが条件となります。
この「オリジナル動画」とは、クリエイター自身が作成したことはもちろん、「TikTok」やInstagramの「リール」などの他の動画プラットフォームに投稿されたことがないことも条件となります。初期のYouTubeショート動画には、TikTokの透かしが入った動画が大変多く、YouTube側ではこれらを減らしたい目論見があるようです。
YouTubeショートの投稿方法
「YouTubeショート」には、今までの動画投稿にはない機能がいくつも取り入れられています。ここでは、スマートフォンのYouTubeアプリに追加された「ショートカメラ」を使って、YouTubeショートの動画の投稿方法を紹介します。
まずは、YouTubeアプリの「+」をタップして録画画面を表示

YouTubeアプリを開いたら、下部の真ん中にある「+」をタップし、「ショート動画を作成」を選択します。すると、録画画面に切り替わります。

録画画面には、以下のようなメニューが用意されています。
【主な機能】
- ・録画ボタン(タップで開始)
- ・15秒/60秒切り替えボタン(タップで切り替え)
- ・音楽を追加
- ・速度変更(0.3倍~3倍速まで変更可能)
- ・タイマー(3秒後、10秒後、20秒後から撮影開始)
「音楽を追加」では有名曲・最新曲も使用可能

中央上部の「音楽を追加」をタップすると、音楽ライブラリへ移動します。ここは、YouTubeショート専用の音楽ライブラリとなっており、誰もが耳にしたことのあるような有名曲・最新曲が利用可能です。
録画が終わったら編集画面に移行(テキスト追加・フィルタ etc…)

録画が終わったら編集画面に移動します。ここではテキストの追加と表示するタイミングの決定や、映像にフィルターをかけて色味を整えることができます。また、撮影前ではなく、この段階で音楽を追加することも可能です。
「タイミング」は簡易的なタイムライン編集作業が可能

編集メニューにある「タイミング」は、動画編集ソフト・アプリでもおなじみの、タイムライン形式の編集機能です。複数の動画を組み合わせるタイミングや、テキストを表示するタイミングなどを調整できます。動画編集ソフト・アプリを使い慣れた人はもちろん、動画編集が初めての人でも直感的に使えるインターフェイスになっています。
最後に「投稿画面」でキャプション追加、公開設定を行う

編集を完了すると、投稿画面に移ります。投稿画面では、動画に添える100文字以内の短いキャプション(説明文)の入力と、公開設定(全体公開・限定公開・非公開)、子供向きかそうでないかの設定を行います。
従来のYouTube動画と比べて設定項目は大幅に少なくなっており、投稿までが非常にスピーディです。動画投稿が初めての人でも迷うことは少なくなっています。
PCから投稿する場合は「#Shorts」を忘れずに
YouTubeショートは、PCからも投稿できます。動画のアスペクト比は「9:16」です。
PCから投稿する場合は、必ず「タイトル」か「キャプション」に、ハッシュタグ「#Shorts」を入れましょう。これがないと、YouTubeショートではなく、通常の動画として認識されてしまいます。
なお、スマートフォンの「ショートカメラ」で投稿する方法では、自動でYouTubeショートを認識するので、「#Shorts」をつける必要はありません。
企業によるYouTubeショートの活用事例
YouTubeショートは、始まって日の浅いサービスですが、早速活用する企業が登場しています。ここではその1例をご紹介しましょう。
マイナビ転職【公式】
マイナビ転職の公式YouTubeチャンネルでは、2015年からYouTubeを活用し、転職のノウハウなどをわかりやすく動画で解説してきました。当初から1分前後の短い動画があり、YouTubeショートの登場と共に、活用を開始しています。
YouTubeショートでは、ショート動画の特性を考え、「転職あるある」「面接NGあるある」などの、エンタメ的に楽しみながら転職に関する知識をつけられる動画や、職業別の年収ランキングなどを公開しています。もっとも多いショート動画で80万回以上再生されており、チャンネルの認知度アップにも貢献しています。
大京警備保障のおじさんが可愛いを目指すチャンネル
新宿区に本社を置く大京警備保障は、交通誘導やイベント警備を請け負う中小企業です。YouTubeショート登場以前からTikTokで動画投稿を開始し、フォロワー15万人以上、再生回数は5000万回以上を誇ります。
大京警備保障のYouTubeショートの特徴は、業務とは直接関係ない内容がほとんどなことでしょう。たとえば、「若い人がみんな知ってるものを、中年男性に与えたときの新鮮なリアクション」を撮影した動画は特に人気で、会社を動画で紹介するよりも、視聴者が見て楽しめる動画を作ることに徹しています。
結果、これらは採用活動に繋がり、50人以上の応募から10人ほどを採用。毎月100万円以上かかっていた求人広告が不要となり、入社後のミスマッチも少なくなったといいます。
最後に…
YouTubeショートは、この分野で先行する「TikTok」の独走を防ぐため、YouTubeが本腰を入れた新たなフォーマットです。1億ドル規模のファンドは、2億ドル規模のファンドを用意しているTikTokの約半分ではありますが、クリエイターがまだ少ない現状を考えれば大変魅力的です。
また、YouTubeショートで成功した場合、通常のYouTubeの動画チャンネルとの連携により、さらなるチャンスに恵まれる可能性もあります。YouTubeでは、ファンを獲得し、収益につなげるためのさまざまな試みを進めています。何事もアーリーアダプターが有利であることを考えれば、「YouTubeショート」への動画投稿は1日でも早いほうがよいでしょう。