動画マーケティングとは?手法や効果、成功事例も紹介します
動画マーケティングとは、動画広告や映像作品を使用したウェブマーケティング施策のひとつです。動画サイト内で流す短い動画広告や、YouTube動画、インスタグラムで流す短い動画など、その手法は多岐にわたります。
そこでこのページでは、動画マーケティングに注目が集まっている背景や、代表的な手法、企業の動画マーケティング事例などを見ながら、「動画マーケティングとはなにか」という基本的な疑問を解消していきます。
動画マーケティングとは?

動画マーケティングは、YouTubeなどの動画内やSNSのタイムライン、自社サイトで流される「動画広告」や「映像作品」を活用したWebマーケティング施策のことです。動画コンテンツを作成して視聴者に見てもらったり、従来型の広告を動画広告に置き換えていったりするのが一般的な手法です。
動画は、自社製品の魅力をアピールして売上を伸ばしたり、サービスの利用者を増やしたりすることを目的としたものが一般的です。動画メディアは発展途上で、可能性は多岐にわたりますから、今あるもの以外にも新たな活用方法が誕生するかもしれません。
【動画マーケティングの一例】
- ・自社製品のユニークな活用方法を動画で紹介
- ・自社サービスのユーザーのインタビュー動画を自社サイトの掲載
- ・製品ができるまでの過程を追った動画を動画サイトに掲載
- ・ブランドフィロソフィーを表現した映像作品を動画サイトで配信
動画マーケティング市場が注目される背景とは?
では、なぜ動画マーケティングは今もっとも注目されているWebマーケティング手法とされているのでしょうか。
注目される理由①:動画サイトの利用者が年代を問わず多いから
動画マーケティングが注目されているひとつめの理由は、ここ数年における動画サイトの利用者数の急増にあります。
世界最大の動画サイト「YouTube」を運営するGoogleによれば、2020年は日本で約6500万人のユーザーがYouTubeを利用し、すでに利用していた人の74%が利用する回数が増えたと答えています。

参考:月間 6,500 万ユーザーを超えた YouTube、2020 年の国内利用実態
さらに、令和元年に行われた総務省の調査では、動画サイトの利用時間は50代を除くすべての年代でブログ・ウェブサイトの閲覧時間より長いことがわかっています。しかも、ソーシャルメディアの利用時間が特に長い10~20代においても、実は動画サイトの利用時間のほうが長いのです。

参考:令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書|総務省
注目される理由②:動画広告市場が急成長しているから
ふたつ目の理由は、動画サイト利用者の増加や高速通信の普及による、動画広告市場の成長です。2020年12月に発表されたデータによると、市場規模は今後3年で2倍以上に成長し、2021年には3,889億円、2024年は6,856億円に達する見込みです。

参考:2020年国内動画広告の市場調査を発表|株式会社サイバーエージェント
ひとつ前の項目で説明したとおり、ブログやSNSより動画の閲覧に時間を割くユーザーが増えています。しかも、利用者の年齢も幅広いものです。そういったことから、動画広告は今もっとも広い層にアピールできる手段として注目されているのです。
注目される理由③:スマホからの動画視聴が増えているから

3つ目の理由は、スマートフォンから動画を見る時間の増加です。ニールセン デジタルが行った2019年の調査によれば、2015年からの5年間で、ひとりのユーザーがスマートフォンで動画を見る時間は実に4倍に増えています。
近年は、YouTubeやインスタグラムにもTikTokに準じた「ショート動画」が導入され、さらにスマホ各社の大容量通信プランの低価格化により、スマホでの動画閲覧はより気軽なものになっています。それだけ、動画広告に触れる機会も増えているというわけです。
参考:Digital Trends 2019上半期|ニールセン デジタル
動画マーケティング 代表的な5つの手法
動画マーケティングにはいくつかの種類・手法があります。それぞれ見込める効果とともに紹介しましょう。
①動画広告を動画サイトの動画内で流す

動画広告には、動画そのものの長さや、配信(出稿)する場所(サイト)などがいくつかあります。もっとも親しみがあるのは、YouTubeなどの動画サイト内で流れる動画広告ではないでしょうか。
YouTubeの場合、5秒でスキップできるものが多く、6秒または15秒スキップできない動画広告も存在します。5秒でスキップできるものは動画の長さに制限がないため、ブランドの世界観を表現する映像作品にも向いています。
また、動画を見ようと視聴者がスタンバイしている状態で広告を流せるので、しっかりと見てもらえる可能性が高いこと、さらに、文字と画像の広告と違って音声を聴かせられることも強みです。
【向いている施策の例】
- ・製品
- ・サービス紹介(コマーシャル形式)
- ・ブランディング動画
②動画広告を動画サイト外に掲載する

モバイル通信・インターネット回線の高速化に伴い、動画サイトではなくポータルサイトやブログなどのウェブサイト内で動画広告を目にする機会も多くなりました。
文字と画像による従来型のバナー広告などを置き換えるカタチで掲載され、ほとんどのケースで音声OFFの状態で流されます。そのため、映像というよりは「動く広告」としての側面が強くなります。
強制視聴ではないためユーザーのストレスが少なく済む反面、動画コンテンツ内で流される動画広告に比べてしっかり見てもらえる可能性は少なくなります。
【向いている施策の例】
- ・製品
- ・サービス紹介(コマーシャル形式)
③動画をSNSで流す

動画をFacebookやTwitterなどのSNSで流す方法です。とくに、InstagramやTikTokなどのショート動画で「バズらせる」ことができれば、その拡散力は驚くべきものがあります。こうした動画は俗にバイラル動画(ウイルス性が高い動画=人から人へ次々と拡散されていく動画を指す)とも呼ばれます。
動画マーケティングとして行うのであれば、自社商品に絡めたインパクト重視の動画や、自社サービスに関する共感を得やすいストーリー性のある動画がよいでしょう。こうした施策により、消費やサービス、ブランドの認知度アップに繋げることができます。
【向いている施策の例】
・ブランディング
④紹介やHowTo動画を動画サイトや自社サイトに掲載する

広告のために動画を作るだけではなく、自らYouTubeなどにチャンネルを作って動画をアップロードしたり、作成した動画を自社サイト内に掲載することを目的とするパターンです。
製品やサービスの魅力がわかりづらい場合でも、動画にすることでわかりやすくなるケースも見られますし、製品やサービスの背景にあるもの(生産工程の紹介や契約農家のインタビューなど)を紹介するのにも向いています。
また、製品マニュアル/組み立て方法などを動画にすることでお問い合わせの数を減らすことが出来たり、会社案内や施設案内に動画を取り入れることで採用時の応募数増加なども期待できます。
【向いている施策の例】
- ・製品/サービス紹介(詳細な説明)
- ・HowTo・マニュアル
- ・会社案内・施設案内
⑤オウンドメディア/特設サイトで配信する

自社サイトに動画を掲載するところから一歩踏み込んで、自社のオウンドメディアや期間限定の特設サイトを立ち上げて掲載する方法もあります。継続的にシリーズ物の動画コンテンツを作り、既存の顧客やファンを楽しませることで、LTV(顧客生涯価値)を向上させ、顧客の維持を狙います。
CMや提供作品から派生したオリジナルの映像作品を掲載している例や、スポーツクラブが筋トレの方法を動画で掲載している例などがあります。今まで文章による記事を主としていたオウンドメディアを、動画投稿に置き換えていくのも有効です。
【向いている施策の例】
- ・製品/サービス紹介(詳細な説明)
- ・How To
- ・ブランディング(映像作品)
- ・LTV向上
動画マーケティングに取り組むメリット・効果
動画マーケティングは、新規顧客の獲得や自社の認知度を高める手段として、さまざまなメリットを備えています。ひとつずつ見ていきましょう。
メリット1.視覚・聴覚から多くの情報を伝えられる

人間は主に情報を視覚・聴覚から得ているといわれています。そのため、文字と画像を組み合わせた広告やウェブサイトよりもユーザーにより多くの情報を伝えられるのです。
また、YouTubeなどの動画サイトで流れる広告は、最低でも5秒見てもらえます。文字と画像との広告を5秒も見てもらえることはあまりありませんから、その点でも対費用効果に優れます。
wyzowlが2020年に行った調査によると、86%のマーケティング担当者が「動画によって自社Webサイトへのアクセスが増加した」と答えています。動画による広告は、自社製品の魅力をユーザーに印象的に伝えてくれるのです。
参考:Video Marketing Statistics 2021
メリット2.SNSマーケティングと動画の相性がよい

記憶に残りやすい動画広告/動画コンテンツは、SNSでも目を引き、広く拡散される可能性を秘めています。
少々古いデータですが、2013年の調査ですでに、動画は記事コンテンツよりも多くシェアされていることがわかっています。さらに、広告として自動で配信された動画より、知り合いによってシェアやいいねされた動画の方が、より視聴される結果が出ているのです。
参考:Online videos ‘drive deeper engagement than text articles’|Digital Strategy Consulting
メリット3.SEO対策としても有効

Googleの検索結果に動画を表示させることも可能です。たとえば、世界最大手の動画サイトYouTubeの動画はGoogleの検索エンジンに登録されます。
Googleの検索エンジンは動画の内容を判定するまでには達していませんから、タイトルや概要欄の説明文、場合によっては字幕データを動画に添付する必要があるものの、検索キーワードに合致する動画と判断された場合には検索結果ページの先頭付近に表示されます。
これは記事コンテンツを作るのと同等かそれ以上の効果を秘めており、場合によってはひとつの動画で広告とコンテンツを両立させることが可能です。
動画マーケティングの事例
では、実際にはどのように動画マーケティングが行われているのでしょうか。具体的な動画マーケティングの事例を4つ紹介します。
動画広告の事例:ハーゲンダッツ「クリーミージェラート」
新商品「クリーミージェラート」の紹介動画・動画広告です。
少し溶かしてから練るように混ぜる新しい食べ方を動画でわかりやすく提案することで、「私もやってみたい!」という気持ちを喚起し、購買を促します。
コマ撮り風の映像とイラスト、ポップな音楽を合わせることで、メインターゲットである女性層に訴えかけるかわいらしい映像になっています。
動画コンテンツの事例:ダスキン 清潔習慣チャンネル
ダスキンの製品の紹介や、製品を使った便利なおそうじ方法などを紹介する公式チャンネルです。ダスキン社員が紹介するモップの使い方の動画などが好評を得ています。
その中で注目したいのが、ダスキンの代名詞である「レンタルモップ」の回収・洗浄過程を追った動画です。テレビなどで大々的に宣伝するほどではない事柄でも、動画サイトに掲載することで手軽かつ長期的にユーザーに情報を発信することができます。
サービス紹介の事例:NTTコミュニケーションズ まなびポケット
クラウドを活用した教育プラットフォーム「まなびポケット」のプロモーション動画です。アニメーションを効果的に用いることで、サービスの全体像をわかりやすく解説しています。
文字ではなく、専門用語を使わないわかりやすいナレーションを聞くことで、ITやPCに詳しくない学校関係者や保護者でも内容を把握することができ、導入への問い合わせ(コンバージョン)に繋がりやすくなっています。
HowTo動画の事例:チャットワーク
「Chatwork」は、数少ない国産ビジネスチャットツールということもあり、IT関連ではない一般企業からも人気があります。そこで、「1分動画で分かるチャットワークの使い方」というシリーズ動画を作成することで、初心者でも迷わず操作できるようにしています。
しかも、全体の使い方を1本の動画ですべて説明するのではなく、ひとつひとつの作業に応じた短い動画を多数用意することで、視聴者のユーザビリティを向上させ検索ニーズも満たしています。
LTV向上施策としての事例:ネスレシアター

ネスレシアター https://nestle.jp/nestle-theater/
ネスレシアターは無料で楽しめるWEB映画館として、他では見られないオリジナル作品やショートムービーを配信しています。ネスレでは、顧客にブランドやサービスの価値を感じてもらうための「ブランデッドムービー」と位置づけ、従来型CMとは区別し展開しています。
ネスレのコーヒーやお菓子でブレイクタイムを楽しみながら見てもらえるよう、ほとんどの作品は25分程度と短め。有名映画監督が作った映像作品内では同社製品の魅力をさりげなくアピールしつつ、顧客のLTV(顧客生涯価値)向上を狙います。
YouTubeを使った動画マーケティングについてはコチラの記事をご覧ください
世界最大の動画サイト「YouTube」を使った動画マーケティングについては、以下の記事で詳しく解説しています。代表的な戦略や役立つツールも紹介しているので、ぜひご覧ください。
動画広告についてはコチラの記事をご覧ください
動画マーケティングの中でも、とくに動画広告について以下の記事で詳しく解説しています。動画広告全般について幅広く解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。